二代目会長 門屋卓先生を偲ぶ
昨年9月28日門屋卓先生が百一歳で天寿を全うされました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

先生は1949年に東北大学理学部物理学科を卒業され、財団法人農林科学研究所に入社し、物理学的に紙の研究を開始しました。2年後に国策パルプ(株)(現在の日本パルプ(株))へ転社し、研究所にてパルプと紙の物理的研究に専念されました。1972年に工学博士号を取得され、東京大学から農学部林産学科に新設のパルプ学・製紙学講座教授へ招かれました。13年間研究と教育に尽くされ、名著「新しい紙の機能と工学」(裳華房発行)を編著されました。定年退職後、千葉大学工学部客員教授を務めていたころ、神奈川大学理学部新設準備委員長の藤原鎮男東大名誉教授に誘われ、設立委員に加わりました。小生を設立委員へお誘いいただいたのも先生です。理学部設立後は応用生物学科教授として、理学部の総合理学研究所の所長も兼任し、最近まで顧問を続けていました。長靴を履きスコップを持って、湘南平塚キャンパスの農園へ、ケナフの手入れに向かうお姿が目に浮かびます。先生は人格円満、怒った姿を見たことも、人の悪口を聞いたこともありません。
先生との出会いは、小生が中学3年末~高校卒業まで国策パルプ本社のエレベーターボーイ(日祭日以外午後5時~8時)の時に、先生がたまに本社へ来られ、エレベータに乗られ、「君もがんばれよ!」と声掛けされたそうな。
小生が鉄道技研のころ、先生が繊維学会のウエザリング研究会の委員長をされ小生が幹事役を務めたころ、日本ゴム協会の環境劣化研究分科会の村上健吉主査の副主査もつとめ、高分子学会の崩壊と安定化研究会の大澤善次郎委員長とは企画委員同士で懇意にしていました。そこで、三研究会の合同シンポジウムを企画、実施しました。この成功からマテリアルライフ学会の誕生です。門屋先生が2代目会長に就任し、ユニ出版(株)を事務局に据え、本学会を発展させました。
重ねて、門屋卓先生のご尽力に深く感謝し、心よりご冥福をお祈りいたします。
五代目会長 大石不二夫