会長就任にあたって
マテリアルライフ学会
会長 黒田真一
この度7月3日に開催された第26回通常総会において会長に選任されました。マテリアルライフ学会も設立より早や四半世紀が過ぎ,学会としての意義と役割が問い直されていると感じております。このような時期に会長を仰せつかり,その重責を痛感するとともに身の引き締まる思いがしております。微力ながら役員の方々をはじめ会員の皆様のご協力を仰ぎながら精一杯務める所存でございますので,何卒よろしくお願い申し上げます。
さて,当学会の会員数は毎年微減が続いております。平成22年度には正会員数,賛助会員数,維持会員数が各々235,5,21であったのが,平成25年度にはそれぞれ,211,2,22になりました。平成25年度から会員の皆様の年会費を改定させていただきましたので,財政状況は幾分改善いたしましたが,学会誌の発行等に影響が出ていることは否めません。皆様には大変申し訳なく思っております。
一般に,学会が果たしている社会的機能には次のようなものがあると思います。
- 研究者同士のつながり
- 研究知見の実業への反映
- ピアレビューを通した論文査読と成果公開
この3つの機能を維持するために,学会では研究者同士が多くはボランティアベースで活動しています。そうした一連の活動を通して学術文化と産業の発展に資することが,学会の社会的役割と考えられてきました。当学会も例外ではありません。
しかし,近年はこれらの活動に意味を見いだせず,学会を去ることを選択する人が増えているのではないでしょうか。これは,インターネットの様々なサービスを通して,あらゆる情報が簡単に手に入り,また多様な人たちと容易につながることができるようになった現在の状況に鑑みれば当然のことと考えられます。
それでは,当マテリアルライフ学会も,これまで果たしてきた役割が色褪せてしまうことが必然なのでしょうか?いいえ,断じてそんなことはありません。高分子材料は,戦前にその基礎ができ,やっと第二次世界大戦後に花開いた材料です。私たちを取り巻くいたるところに使われ続けてきた高分子製品はまさに今,その耐久性の評価と信頼性の向上が望まれています。この切実なニーズに応えていくためには,関係する研究者・技術者が密接に交流し,生きた情報を交換し合える場が重要であると考えられます。
このためにも,寺野前会長が打ち出された,学会としての学術的な面でのレベルアップおよび国際化の推進という方針を維持して参ります。特に,企業の若手社員の方や学生会員を対象としたセミナーや,時流に即したテーマのシンポジウムなどを充実させ,学会誌やホームページとのリンクを図って行きたいと考えています。また,来年3月には第10回国際ウェザラビリティシンポジウム(10th ISW)の開催が予定されています。中国や韓国をはじめとするアジア諸国など,海外の大学・企業との関係を作り上げる絶好の機会であります。
これからも,会員の皆様がマテリアルライフ学会に所属することに大きな魅力を感じていただけるように力を尽くして参ります。会員の皆様も,是非とも積極的に学会活動にご参加いただけますようお願い申し上げます。