マイクロプラスチック研究会の概要
1. 活動方針
海洋に流出するプラスチックは、近年地球規模の環境問題として国連の持続可能な開発目標Goal 14(海の豊かさを守ろう)に示されるなど、国内外で社会的関心が高まっている。その中で、大きさが5㎜以下のマイクロプラスチック(MP)については、海洋中での生成機構やその挙動、生態系への影響など科学的に未解明な点が多く今後の研究の進展が待たれている。
マテリアルライフ学会は設立以来30年にわたり、「材料の耐久性」をテーマとする学会として各種プラスチック製品が環境中で劣化するメカニズムや寿命予測ついて多くの研究成果を挙げてきた。しかしながら、劣化し商品価値が失われたあとの崩壊・細片化過程についてはこれまであまり熱心な研究は行われてこなかった。
本研究会は、学会設立30周年を機会に、「劣化からその先へ」として、各種プラスチック製品が劣化後に崩壊・細片化してMPが生成するメカニズムを明らかにすることを目的として2019年に設立された。
これにより、プラスチック製品の環境排出からMPに至るまでの環境運命が明らかになり、MPの環境中での挙動を定量的かつ系列的に解析する上での基礎的な知見が得られる。また将来、MP生成防止に向けて製品設計を行うための貴重な情報が得られることも期待される。
研究会運営委員長 | 五十嵐敏郎(金沢大学非常勤講師、縮小社会研究会理事) |
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幹事 | 黒田 真一(群馬大学 教授) |
香西 博明(関東学院大学 教授) | |
比江嶋祐介(金沢大学 准教授) |
2. 活動内容
研究会活動は、研究会協力会員より研究用として提供された材料について、研究会正規会員からなるワーキンググループ(WG)を設置して行う。WG は、WG リーダーと本研究会幹事が主管となって運営し、WGメンバーは以下の研究活動に積極的に参画する。
- マイクロプラスチックに関連する情報の収集と解析
- マイクロプラスチックに関連する正しい情報の発信
- マイクロプラスチックの分析手法の開発
- プラスチック微細化過程のモデリング試験法の開発
- 環境中でプラスチックが微細化する機構の解明
- 環境中で微細片まで劣化しにくい構造を持つプラスチックの開発
- マイクロプラスチックの試験法等を検討しているISO/TG61/SC14/WG4や,German Environment Agency等との協働
- その他必要な事項
3. 今後の活動
マイクロプラスチック研究会はマテリアルライフ学会員のために2つの活動を行う。
ひとつは、毎年11月から12月にかけて行うマイクロプラスチック・シンポジウムである。ここでは、幅広い視点から講演者を募り、マテリアルライフ学会員間で議論をする時間を多くとることで、マイクロプラスチックに関連する情報の収集や正しい情報の発信に役立てることを目的とする。
もう一つは、分析手法の開発や微細化過程のモデリング試験法・機構解明を目的にテーマを絞って適時行うワークショップである。ここでは、研究会会員を中心に、具体的な研究成果の進展を目的とする。ここで得られた研究成果は本ホームページなどを通じてマテリアル学会員にお知らせする。
開催案内
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